プロバイオティクス‐子供のアレルギーをなくす‐
プロバイオティクスという言葉を聞いたことはありますか?
抗生物質(antibiotics)に対比される言葉で、共生を意味するプロバイオシス(probiosis;pro 共に、~のために、biosis 生きる)を語源としています。
英国の微生物学者Fullerによる1989年の定義「腸内フローラのバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物」のことを言います。

私たちは大昔から「感染」に苦しんできました。
ドラマになった「JIN-仁-」でも取り上げられていました。
まだ顕微鏡がない時代、そこに「細菌」がいることはわかりませんでした。
傷口から見えない細菌が入り、感染症となり、命を失っていました。
1928年、イギリスのアレクサンダー・フレミングによって青カビの作るペニシリンに抗菌作用があることが発見されました。
その前までコレラ、ペストなどの病原菌による感染症に苦しめられてきた人間は、この時初めて抗生物質という強い武器を手にすることになります。
抗生物質の発見、進歩により、多くの感染症患者の命が救われ、私たちの平均寿命は延び、細菌たちとの闘いに初めて優位にたつことになります。
しかし、人類と細菌との勝負は、常に追いかけ、追い越されの連続でした。
抗生物質を作ると必ず耐性を持つ細菌が現れてしまいます。
その方法とは、
・細菌自体を覆っている外膜を変化させて、抗生物質が入らないようにする
・細菌に入ってきた毒を外に汲み出すポンプ作用
・細菌内で抗生物質が作用する部分を変化させる(DNAやRNAの変異)
・細菌に届く前に化学反応で分解してしまう(βラクタマーゼ)
・大量の粘液で細菌自体を覆い、薬から身を守る(バイオフィルム)
細菌も生きているので、外敵から守るシステムを持っていたり、他の細菌から機能を譲り受け、抗生物質に対して耐性を作ります。
こうして、一進一退の攻防が繰り返されるのですが、抗生物質が誕生して半世紀、細菌たちの逆襲が私たちを脅かしています。
いつ頃からでしょうか?
抗菌、抗菌、抗菌・・・と騒がれ始めたのは?
私たちの身の回りには、抗菌グッズのだらけになっています。
抗菌スプレーに始まり、抗菌シート、抗菌靴下、抗菌文房具などなんでもそろっています。
とりあえず全部、抗菌しておけば良いと行き過ぎた抗菌や除菌は、その環境に耐えられる菌を逆に増やすことになります。
さらに、抗菌スプレーや抗生物質は細菌の環境を変えることにもなります。
弱い菌は死に、耐性菌だけが生き残ることで、耐性菌は誰も邪魔されず、増殖できてしまいます。
それは自然界だけでなく、私たち生物の体内でも同様のことが起こるということを知らなくてはなりません。
私たちの体内には、1~1.5㎏、1000種類以上、その数は600~1000兆個の腸内細菌が存在しています。
おおよそレンガ1個分に相当する大きさと重さとか。
私たちが抗生物質を飲むと、耐性菌以外の細菌は一掃し、耐性菌のみが生き残ります。
さらに腸内以外にも口の中、のど、気道などたくさんの細菌がバランスを取って生存し、それによって病原菌の侵入から私たちの身体を守っています。
それまで体内に住み着いていた細菌が全滅してしまい、新たな病原菌に感染しやすい状態になってしまいます。
抗生物質が誕生して50年、もはや魔法の薬ではなく、諸刃の剣になろうとしています。
こうした背景から、海外では「予防医学」へとシフトして行くのです。
この予防医学の考え方は今に始まった話ではありません。
東洋医学の世界ではずいぶん前より大切さを伝えています。
それが「未病」です。
食事、運動、睡眠など、日頃の生活に節度をもって生活を送ることを大切にするようにと。
それこそが生命力を高める方法だと・・・。
昔の人は良いこと言いますね!!!
話は戻って、病気は医者が薬で治すのではなく、日頃から病気にならないように、薬を必要としない肉体を作ろうということです。
病気になったら治すのではなく、自分で病気を未然に防ぐことがこれからの医療の在り方です。
※もちろん病気で必要なら薬は使います。
ではもう少し話を進めていきます。
予防を考えるにあたり、いくつかのポイントがありますが、まずは「生体防御力」を高めていくことです。
もともと備わっている生体防御力を最大限に常に発揮できるようしょうじゃないか!!!
そこで「プロバイオティクス」が出てくるんです。
体内、特に腸内にいる細菌たちを上手に利用し、また強化すること、つまり共生するすることで健康増進、病気の予防をしようというのがプロバイオティクスの考え方です。
プロバイオティクスの代表者は乳酸菌とビフィズス菌です。
いわゆる善玉菌ですね。
プロバイオティクスのまとめを図にしてみました。

病気や健康はもとより、アレルギー改善、回避もプロバイオティクスでできそうですね。
ではもう少し詳しく見ていきましょう。
腸内細菌には、人の健康に有用な「善玉菌」と健康に害を及ぼす「悪玉菌」の有名な2種類があります。
別の名前で「発酵型細菌」と「腐敗型細菌」とも言います。
善玉菌ではないものの、悪玉菌だとも断言しにくい、悪玉菌寄りの「日和見菌」がいます。
善玉菌はビフィズス菌、乳酸菌、悪玉菌にはウエルシュ菌、バクテロイデス菌、その中間層の日和見菌には大腸菌、腸球菌などがいます。

理想の腸内細菌のバランスは善玉菌が多いに越したことはありません。
そもそも、おなかの中の赤ちゃんは無菌です。
生まれたときはじめて、赤ちゃんは菌と共生を始めます。
菌の侵入ルートは身近にあります。
・母親の膣
・空気中
・手足などの皮膚
膣の中には、デーデルライン桿菌という乳酸菌の一種が生存し、生まれてくるとき赤ちゃんが初めて触れる菌です。
その後、肺呼吸や授乳によってその他の菌たちに触れ、共存してくことになります。
私たちは無菌状態で生きていくことができず、これらの細菌たちと仲良く暮らしていくことが大切なのです。
出産後に早くも腸内フローラを作り始めていき、授乳中の赤ちゃんの腸内はビフィズス菌が大部分を占めていきます。
母乳にはビフィズス菌を増やす作用がありますので、いわゆる「プレバイオティクス」を行うことができます。
プレバイオティクスとは、
①消化管上部で分解・吸収されない
②大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する
③大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する
④人の健康の増進維持に役立つ
の条件を満たす食品成分を指します。
ここでいう食品成分は食物繊維です。
特に水溶性食物繊維です。
プロバイオティクスの原理で考えれば、赤ちゃん、しかも母乳で育っている場合は、免疫を調整する力が大いにあるということです。
その後、授乳を終え、離乳食、普通食と進んでいくと、ビフィズス菌は減り、バクテロイデス菌が優位になっていきます。
そして腸内ではビフィズス菌たち善玉菌とバクテロイデス菌たち悪玉菌の攻防が常に行われ、勢力争いが勃発するようになります。
子供のアレルギーをなくすというテーマから考えると、やはり妊娠中からのケアが重要となることがわかります。
出産の時、赤ちゃんは母親の菌に触れるので、その菌のクオリティは大事です。
さらに出産時は母親の血液と赤ちゃんの血液や粘膜などが触れることになります。
その時、母親の持つアレルギーに関わる免疫グロブリン(IgE)が赤ちゃんに行くことも考えられます。
母親の膣の細菌だけでなく、血液や粘膜なども考慮しなくてはなりません。
できれば妊娠前から、せめて妊娠中はアレルギーの原因になるようなことは避けたほうがよさそうですね。
では、アレルギーとは一体なんでしょうか?
花粉症を例に考えていきます。
そもそもアレルギーとは、「抗原の再投与によって起こる免疫反応がその結果として、生体に正常よりも過敏な反応を示し、組織傷害をもたらす現象」を言います。
簡単に言うと「免疫過剰」の状態です。
アレルギーには種類があって、Ⅰ型からⅤ型の5種類に分類できます。
Ⅰ型はアナフィラキシー型とも言われ、気管支喘息、花粉アレルギー、アトピー、鼻炎、腸管アレルギーなどがあります。
私たちが日常的に困っているアレルギーはこちらです。
ちなみにそれ以外のアレルギーには溶結性貧血、白血球減少症、SLE、甲状腺機能亢進症などがあります。
ではⅠ型アレルギーを考えましょう。
なぜ花粉症の人とそうでない人がいるのでしょう?
花粉が悪いのか、それとも人が悪いのか?
東京都に限ると、東京都は花粉が減っています。
それでも花粉症に悩んでいる方は多いのです。
私が子供の頃、花粉症の人は少なかったという印象ですが、あの当時に比べ、花粉が進化したとは思えませんね。
結局、あの当時と変わらない花粉に、人間が過剰反応しているだけです。
花粉が、ただのホコリで、くしゃみが出るわけではありません。
※もちろんそういう時もあるでしょう
鼻や目、のどの粘膜に抗体(IgE)が肥満細胞と結合した状態で存在し、抗体と花粉が触れると、肥満細胞からヒスタミン分泌されて症状が出ます。
この抗体があるかないかで、花粉症かどうか決まるわけです。
抗体ができるには、体内に一度入ったことがあり、リンパ球が抗体を作り、また記憶しています。
鼻や目、のどにIgEと肥満細胞がスタンバイし、花粉が来ると反応が起こるのです。

そもそも花粉は体内に入ることなどないはずなんです。
花粉に限らず、大きい物は入れないはずなんです。
この話をするということは、腸が関係してきそうだということは想像できますね!!!
そうです。
腸から体内に取り込まれ、抗体が作られるんです。
これをセリアック病、リーキーガット症候群といいます。
腸には小さな穴が開いていて、食べ物が小さく分解され、その穴を通り、吸収されます。
しかし、その小さな穴が広がってしまうことがあるというのです。
この穴が広がるには、腸内環境の悪化が原因といわれています。
母親の血液中にあるアレルギーの抗体が赤ちゃんに行くことがあれば、まだ無垢な赤ちゃんもアレルギーの素質を持ってしまうことになります。
【子供のアレルギーを予防したい・改善したい-まとめ-】
・過度な除菌、抗菌はしないこと
・妊娠中から乳酸菌、ビフィズス菌を増やすこと
・プレバイオティクスに必要な食品を摂ること
・乳酸菌やビフィズス菌たちを殺す抗生物質の多用は控えること
・腸の穴を広げるような食べ物は控えること
【乳酸菌、ビフィズス菌を増やすには】
・発酵食品を摂取する
・数千億の乳酸菌をサプリで摂る
・水溶性食物繊維(納豆、押し麦、かんぴょうなど)を積極的に摂る
【腸内の穴を広げない方法】
・精製糖質は避ける
・小麦は避ける
・アルコール、カフェインの過剰摂取
・食品添加物、農薬を避ける
・慢性的なストレスを溜めない
・活性酸素を作らない
・非ステロイド系抗炎症剤、制酸薬、ステロイド、抗生物質、ピルなどを控える
治療で必要な場合もありますので避けられない場合もあるかと思いますが、不用意な摂取は避けたいです。
自分で回避できる部分は大いにあるかと思います。
できる限りのことをしましょう!!!